各営業所には建機や器具(機械)を整備するメカニックが常駐する。レンタル前の整備はもちろん、戻ってきた建機たちのチェック・メンテナンスが主な仕事だ。ただ、ずっと営業所にとどまっているわけではなく、使われる現場で思わぬトラブルが発生し、現場で修理するシーンも少なくない。事前にトラブルの状況を電話で確認し、ある程度の原因を予測。必要となるであろう消耗部品などを用意して、基本1人で現場に出向く。作業としては営業所で行っているものと変わりはないものの、現場には魔物が存在する。
「現場に到着すると、待ってました!とばかり、作業員の方が集まってくるんです。故障箇所にアクセスするまでに、ビスを1本づつ外していく、どうってことのない作業でも、手元に視線が集まっていると上手にはずせなくなるんです。想像以上に緊張してしまうんですよ」
現場に着くと、プロが来てくれているという安心感とその華麗な手捌きを見ようと、現場に人たちが集まってくるもの。けれど、営業所とは勝手が違うのは、そばにベテランの先輩たちがいないこと。
完全にアウェー状態で作業にかからなければならない。これまで生きてきて、かいたことのない汗が滴る。そんな大きなプレッシャーを抱えながらも前に突き進めるのは、プロフェッショナルとして認められたいという想いがあるから。
実は出口、文系出身者。キナンに入社するまで機械に携わることなどなかった。特に車やバイクいじりに没頭した記憶もないものの、誰にでもできない仕事、極められる仕事として、この仕事を自ら志願して入社してきた。
「さすがに文系出身者で技術系の仕事ってほとんどありませんでした。機構や構造、電気・電子など基礎的なことを学んでいないと、採用の土俵にも上がれないんです。でも、キナンだけは挑戦させてくれる企業だったんです。」
本人のやる気次第。それがキナンの採用・人材育成の基本方針。とはいえ、出口は、そのやさしさに甘えることなく、自分のできることをもっと増やしたい、極めたいという想いで、今でも新しい資格取得や技術領域の拡大に余念がない。
「大先輩などは、エンジンをバラしてオーバーホール(全てを分解し、清掃して再構築する)されていたりしますし、かなり難易度の高い溶接もできるようになりたいと思っていて。とにかくこの仕事でできることは全て習得したいんです」
出口がここまでにこだわるのは、サービス(整備・メカニック)部門で組織の長として活躍したいという想いがあるから。
いつかは営業としての経験も積んでみたいという考えはあり、会社としても希望を出せば叶えてくれるはずだ。けれど、出口は究極のプロフェッショナルを目指している。
「この仕事を選んでから、こだわりがさらに強くなったのかもしれないですが、とにかく貪欲にいろんなことを吸収したいと思っているんです。それも若いうちに」
会社から一目置かれる人間になる。そんな目標を現実にしてしまう日もそう遠くない。